フードロス問題を解決するユニコーンApeel Sciences(資金調達ニュース2021.08.16~2021.08.22)
今回は2021年8月16日〜8月22日の資金調達上位企業を紹介します。今回のピックアップは農作物の賞味期限を延長させるコーティング剤を開発するApeel Sciencesを紹介します。
まず先週の資金調達上位10社はこちらです!
第1位はAbogen Biosciencesです。mRNAを活用したCOVID19のワクチンを開発する企業です。
第2位はNuvemshopです。自社ECサイトを制作できる南米版Shopifyです。カート・決済に加え、配送、在庫管理、マーケティングなどのツールも一元化して提供しています。
第3位はBranchです。従業員へのデジタル給与支払プラットフォームです。従業員は賃金の前払いを選択でき、企業側は振り込み作業を一元化できます。
第4位はDriveWealthです。事業者に対して少額株式投資サービスを立ち上げるためのAPIを提供しています。
第5位はPhonePeです。インドFlipkart傘下のデジタル決済アプリです。
第6位はBitpandaです。株式や暗号資産、ETF等の取引プラットフォームです。
第7位はApeel Sciencesです。農作物の鮮度を保つ植物成分のスプレーを開発する企業です。
第8位はPostmanです。APIの開発〜リリースまで複数チームでの開発業務を支援するAPI開発プラットフォームです。
第9位はBreeze Airwaysです。アメリカの中規模都市間を低価格・高品質なサービスで結ぶ新興航空会社です。
第10位はHopperです。航空運賃を予測、現時点の価格で購入できるOTAです。
今回のピックアップは農作物の賞味期限を延長させるコーティング剤を開発するApeel Sciencesを紹介します。
Apeel Sciencesは、農作物の腐敗を遅らせるコーティング剤を開発している企業です。このコーティング剤は、植物の皮や茎から採取された脂質を成分に開発され、水分を封じこめることで、賞味期限を通常の2倍に延長させることに成功しています。
生産者は収穫後、Appel Sciencesのパウダーを水で溶き、農作物にスプレーすることで効果が発揮されます。
アボガド、柑橘類、桃、イチゴ、マンゴー、リンゴ等多様な食物が対象となっており、米国食品医薬品局(FDA)からの認可も得てクローガーをはじめ米国・欧州のスーパーで販売されています。
実際の店舗では廃棄量が60%削減され、売上が増加している事例も生まれてきているそうです。
現在世界では生産された農作物の約1/3が廃棄され、日本においても生産量の20%前後となる200万〜250万tが廃棄されており、大きな社会問題となっています。
Appel Sciencesはこの廃棄問題の解決に加え、もう一つ大きな課題解決に取り組んでいます。
それは新興国の小規模農家の支援です。
世界の食料の約8割は小規模農家によって生産されていますが、これらの小規模農家はグローバルで販売するためには貯蔵や輸送という面で大きなハードルがあります。
Appel Sciencesはコーティング剤による保存期間の延長に加え、自社のコーティング剤を使用した農作物の流通ネットワークを開発、アフリカや東南アジア、中南米の小規模農家が海外へ農作物を手軽に販売、収益を向上できる仕組みを提供しています。
Appel Sciencesにはビル・ゲイツのビル&メリンダ財団やA16Zをはじめ、歌手のKaty Perryも投資しており、今回は250MUSDを調達、流通ネットワークの拡大を目指すそうです。
農作物の廃棄問題を解決するスタートアップとして、農産物に貼るだけで鮮度を保持するシールのRyp Labs、賞味期限を可視化できるジェル型のラベルを開発するMimica Touch、鮮度を保持する特殊コンテナを開発するRipeLockerなど複数のスタートアップが生まれてきていますが、SDGsが各国の目標として掲げられ、企業の対応がさらに強く求められる中で、持続的な社会を構築していための新たなテクノロジーは今後もますます注目を浴びるのではないかと考えています。
もしそのようなビジネスを検討されている方がいましたら、是非お話しさせてください!