国内アクセラレーターカオスマップ2020年版
国内でアクティブなアクセラレーター70団体のカオスマップを作成しました。文末には一覧リストもありますので、アクセラレーターの活用を検討されている方はご覧ください。(ホームページ上の情報を基に記載しておりますが、間違ってるぞや修正要望がある場合、松山@KTMY0507までご連絡ください。)
そもそもアクセラレーターって何?
アクセラレーターは多くの定義がありますが、一般的には「A fixed-term, cohort-based program, including mentorship and educational components, that culminates in a public pitch event or demo-day.(期間固定、コホートベースで、メンター シップと教育コンテンツを含み、デモデイを最終目標とするプログラム)」と定義されています(Cohen & Hochberg, 2014)。
海外ではY Combinatorや500 Startupsのようなプログラムが有名で、期間固定で選抜したスタートアップを対象に講義やメンタリングを行い、限られた期間内で仮説検証を繰り返し、PMFを目指します。多くのアクセラレーターは、プログラムの最後にデモデイがあり、大勢の投資家を前に事業内容をプレゼン、追加の資金調達を目指します。
アクセラレーターに関しては多くの研究が行われており、メンターからの学習効果、コホート(同時期に採択されたスタートアップ)からの学習効果、期間固定によるペースメイキングの3つの効果により、スタートアップのパフォーマンスが向上するという結果が報告されています。
たとえば、Cohen, Bingham, Hallen(2018)では、8 つのトップアクセラレーターとその卒業企業 37 社のパフォーマンスと詳細なインタビューによる調査を通じて、1)メンターをはじめ、 顧客・アドバイザー等の第三者との対話の頻度が高いプログラムは、起業家に対してビジ ネスアイディアの弱点を理解させ、ビジネスアイディアをピボットするか継続するかの判断を促していること、2)コホート内で進捗状況を共有する設計をしているプログラムは、 起業家同士の知識の交換が生まれること、3)スケジュール・コンテンツを標準化しているプログラムは、強制的に行動の順序が定められ、1・2 が活発になることの 3 点を明らかにしています。
また、Cohen, Fehderb, Hochbergc, Murray(2019)では、146 のアクセラレーターの卒業 企業 5,921 社のパフォーマンスを調査、平均 16.32 週間よりプログラム期間が長く、平均 12.28 社よりコホート社数が少なく、投資家が運営しており、運営者がメンタリングしてい るプログラムは、パフォーマンスが高いことを明らかにしています。
Code Republicにおいても上記の点を意識したメンタリング、コホート同士の交流を設計しています。(宣伝です!)
国内のアクセラレーターの概況
それでは、国内にはどのようなアクセラレーターがあるのでしょうか。ハッカソンやビジネスプラン形式を除くアクセラレータープログラムは、国内で70団体を確認することができました。
今回はアクセラレーターをいくつかの切り口に分けて紹介します。まずは対象ステージによる分類です。対象ステージの分類はシードアクセラレーターとスケーラレーターの2つに分類しています。
スケーラレーターはプレシリーズA・シリーズA以降のスタートアップの成長支援を行い、シードアクセラレーターは、起業前もしくは起業まもないシードのスタートアップの成長支援に注力しています。
スケーラレーターについては、FoundX馬田さんのスライドがとてもわかりやすいため、こちらをご覧ください。
国内ではシードアクセラレーターが19団体、スケーラレーターが51団体と72%以上がスケーラレーターとなっています。
スケーラレーターの多くは、コーポレートアクセラレーターと呼ばれる企業のオープンイノベーションを目的としたプログラムとなり、運営主体である企業との提携・連携により、スタートアップの成長が期待されます。
続いて、対象業種別に見ると最も多いのは業種の制限がないプログラムが16団体、ついで地域に特化したプログラムが8団体となっています。
シードアクセラレーターに特化して対象業種を見るとこちらも業種の制限がないプログラムが19団体中12団体を占めています。
業種特化型では、VR・ARに特化したTOKYO XR STARTUPS、HRに特化したウィルグループHRTechアクセラレータプログラムなどが挙げられます。業種・領域特化のプログラムでは、業界コミュニティへの参加がしやすかったり、運営主体となる企業との連携が見込めるなどのメリットがあります。
続いて、投資有無別に見ると事業内容や事業成長の状況を踏まえ判断する「都度検討」が33団体と最も多く、投資を前提とする「あり」は8団体のみとなっています。(「なし」には支援金や賞金を支給しているプログラムも含まれます。)
シードアクセラレーターの投資有無では「あり」が8団体と最も多くなっています。
最後に
アクセラレーターと一言で言っても対象ステージや事業領域、投資有無により大きく異なります。この点を踏まえ、起業家の皆様自身のステージ・事業領域に応じて選択することをおすすめします。
最後に宣伝ではありますが、、Code Republicの強みは大きく3つあります。
①ファイナンス
初回投資だけでなく、事業成長後の投資についても随時フォローオンでの投資を実行しています。創業からExitまでの長い道のりをパートナーとして徹底的に支援することを約束します。
②ネットワーク
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③ノウハウ
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尚、各アクセラレータープログラムの一覧は以下に格納しています。(ホームページ上の情報を基に記載しておりますが、誤情報や修正要望がある場合、松山@KTMY0507までご連絡ください。)
▼国内アクセラレータープログラム(2020年版)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1kQGCDbx28rVe0vKdHbwk4ErlAPeXCMciWPmVCiIsk_g/edit?usp=sharing
<参考文献>
Cohen, Fehder, Hochberg, Murray (2019), “The design of startup accelerators”, Research Policy Volume 48, Issue 7, September 2019
Cohen, Bingham, Hallen (2018), “The Role of Accelerator Designs in Mitigating Bounded Rationality in New Ventures”, Administrative Science Quarterly
Cohen, Hochberg (2014), “Accelerating Startups: The Seed Accelerator Phenomenon”, SSRN Electronic Journal