遠距離恋愛から始まったビジネスアイディア(CRSS第1期生/株式会社ピカブル代表取締役CEO小島貴之)
East VenturesとYJキャピタルが共同運営するアクセラレータープログラム『Code Republic』では、慶應義塾大学琴坂研究会とのコラボレーションにより学生を対象とした集中講義型プログラム『Code Republic Startup School(CRSS)』を開催しています。
CRSSは、今をときめく17名の先輩起業家の知見を体系化した講義と慶應義塾大学琴坂准教授・YJキャピタル堀新一郎・East Ventures衛藤バタラ等のメンタリングにより、学生起業家・起業志望者の成長を支援、2018年10月より第1期、2019年7月より第2期のプログラムを実施、現在2020年度のプログラムを募集中です。(詳細はこちら)
本日はCRSS第1期生で先月サービスを正式ローンチした通話×画面共有アプリ『ピカブル』を運営する株式会社ピカブル代表取締役CEO小島貴之さんに、サービス開発の経緯についてお話し頂きます。
サービス内容は?
新体験の通話×画面共有アプリ『ピカブル』を10月にリリースしました。
ピカブルを使うと、自宅にいながら、友人や恋人と一緒に動画サービスやWebサイトを閲覧できるようになります。
ユーザーのユースケースは様々で、YoutubeやGYAO!で一緒に動画を見たり、旅行サイトや航空券予約サイトを見ながら旅行の計画を立てたりするのに使われています。私たちの想定を超えた利用方法も生まれており、カップルが不動産仲介サイトを3時間電話しながら見ていたり、ハロウィンの仮装に使う衣装を探していたり、エロ動画を一緒に見ているユーザーもいました(笑)
ピカブルはSkypeやZoomなどの画面共有通話サービスのスマホ特化版/一般ユース特化版です。一般的な画面共有サービスは、ビジネスの場面では活用されていても、そのままでは一般ユースには向きません。
具体的には、
・LINE等のSNS通知が相手に見えてしまう。
・動画サービスを視聴できない。
・膨大な通信を要し、画質も荒く、カクカク。
・1人しか操作できない。
等の課題がありました。
ピカブルでは独自技術を活用することによって、
・SNS通知や、検索履歴、パスワード等は一切相手に見えない。共有するのはコンテンツ部分だけ。
・動画サービスにも対応できる。
・一人で動画やWebサイトを利用している時と、同じ画質でスムーズに操作できる。通信量も大幅に削減。
・お互い操作できる。
上記のUXを実現しました。
サービス開発のきっかけは?
新しい文化を作れるような若者向けサービスを作りたいと思って10代にヒアリングを重ねていたところ、女子高生がテレビ番組やAbemaTVを見ながらチャットや通話をしている行動に気がつきました。
他にも大学生がSkype飲み(Skypeで画面共有をして動画を見ながらおしゃべりをすること)をしていたり、お互いの家にいながらNintendo SwitchとLINE通話を組み合わせて、おしゃべりしながら遠隔対戦をしている行動も見られました。
この行動に気がついた時に、遠距離恋愛をしていた時のことを思い出しました。毎日彼女と電話をしていたのですが、どんどん話すネタがなくなってしまうんですよ(笑)そこでNetflixを見ながらLINE通話するという遠隔で体験を共有できる裏技を編み出していました。
若い世代の行動と自分の体験がリンクした瞬間でした。
サービスの開発にあたり、どのように仮説検証を行いましたか?
離れていても、人間は体験を共有し、一緒に笑ったり、一緒にワクワクしたり、一緒に感動できるのではないかという思想を大切にしています。
その上で、初めはVRのハッカソンに出たりしていました。VR空間でコミュニケーションを取るとかってまさに「遠隔での体験の共有」だったので。
でも、街でヒアリングしている時に、どうしても一般の高校生や大学生がVRヘッドセットを付けている未来が想像つかなくて。もう少し普及には時間がかかる気がするし、もしかすると一般には普及しないでゲーム機の枠にとどまるかもしれない。そう感じて、VRから離れて、再び「遠隔での体験の共有」を模索し始めました。
その中でスマートフォンの画面共有機能が活用できるのではないかと。でも、これも実験しているとなかなか課題だらけで。その課題を解決し、一般利用に結びつけるにはどうすれば良いのか試行錯誤しながら、今のピカブルにたどり着きました。
起業にあたりCRSSで得られたことは何でしたか?
CRSSで得たものは、2つあります。

1つ目は、スタートアップのフレームワークや理論を短期間でインプットできることです。本屋に行けば同じようなことを書いてある本は売っていそうですが、ただ本を読んで賢くなるのと、自分の事業立ち上げや同期の事業立ち上げの試行錯誤を見ながら並行してインプットするのは、全く別物であると考えています。
2つ目は、数々の事業立ち上げを見てきた強力なメンター陣です。CRSSを含めて2〜3アクセラレーターに参加しましたが、メンタリングの質はダントツでCRSSが高かったです。
琴坂先生は大学院の研究室でもお世話になり、CRSSに入るきっかけにもなりました。的確なアドバイスと温かさを併せ持った方です。また、松山さんは一番親身に相談に乗ってくださり、今後の事業シナジーにつながるようなコネクションも作っていただきました。堀さん、バタラさんは経験・知見ともに日本有数の方々です。このメンバーに定期的にメンタリングをいただける機会はかなり稀有なので、事業のブラッシュアップを求める学生は絶対参加した方が良いです!
最後にピカブルをどのように使ってもらいたいですか?
みなさんたくさんのお友達がいらっしゃると思うんですが、ピカブルはその中でも仲の良い友人や恋人と楽しんでいただきたいサービスです。
ピカブルがイメージしているのは、友達の家で夜更かしをしながら一緒にDVDを見たり、大学の食堂で旅行雑誌を広げて一緒に旅行の計画を立てたり、カップルがブックカフェのソファに並んで座って雑誌を眺めてデート先を思い浮かべているようなシーンです。
今まで、離れていると音声通話かビデオ通話あたりしかできなかったのが、離れていても一緒に映画を見たり、旅行やデートの計画を立てたりできるようになります。
実際にピカブルを利用してくださったユーザーさんから、「感動した」とか「電話の100倍良かった」と言ってもらえて、ピカブルチーム一同大変嬉しく思っています。今後もどんどん便利で居心地の良いアプリにできるよう頑張っていきますので、みなさんぜひ一度使ってみてください。どんな風に使ったかお話もお聞きしたいです!(DMは@taka_picableまで)
ピボットを繰り返しながらプロダクトの磨き込みを行なっている小島さん、ターゲットと課題を絞り込み、熱狂的なファンを獲得し始めています。ながらインターネットの代名詞としてピカブルの成長を期待しています。
▼ピカブルのDLはこちらから
https://picable.co.jp/